設定(世界観)







設定・・・と言っても、ここまでの十六話を読んでいただくことを前提として書いておりますので、最初にここから読む方は 良く分からないと思われます。







国家設定

大きく分けて国は二つ。しかし、基本的には三つと言えます。

国において伯以上の爵位を与えられた者は諸侯と呼ばれ、事実上の国家を持つことを許されます。

なので、それを入れれば、全部で国は100以上になるわけですが、諸侯は王に仕えているので、一国と数えない場合が多いです。

ただ、相沢家、つまり公爵家だけは、その諸侯の中では類を見ない規模と、限りなく独立国に近い権限、力を持っていることから一国と数えられることが多くなっています。

侯爵家レベルでも、その民の数は百万を超え、常備軍も一家だけで四〜五千人持つ程度の国力はありますが、この三つの国家相手には単独では 対抗しようもないくらい国力に差があります。







倉田家(帝国)

人口は一千万を超える三国の中でも最大の国家で、世界最初の国家。

初代皇帝は大戦当時の人間のリーダー。

その下に、当時魔術兵団を率いた水瀬家、将軍として指揮を取った美坂家、軍の中で事務役を務めた久瀬家が三侯爵家として 従っている。

相沢の家は当初は国家の中で庶民として暮らすことを希望したものの、人間の頭達が人を見守る存在であって欲しいと嘆願。

独立国に極めて近い、しかしあくまで帝国に仕えると言う形で公爵家が創立された。

以後数百年の後に異端者として一部の人間を排除しようとしたことから、伯爵家の中でも最大の規模を誇った折原家がこれを公然と批判し、 あわや戦か?と言う所まで行きかけた所を公爵家が仲裁。

結果として帝国は折原家の分裂を許可し、公爵家に対する支配権を強めた。

現在における戦力は禁軍30000弱のうち5000ほどが前回の戦により戦死、もしくは退役。

結局、公爵家をつぶす為に予備兵約二十万のうち十万以上を軍に組み込み、倉田家一家のみでも現状において世界最大の兵力を誇る。

皇帝は倉田一。

皇太子に倉田一弥。

そして、皇女でありながら公爵位を相沢家から委譲された倉田佐祐理の三人が主な皇家。

主な将軍は筆頭将軍に石橋将軍。

その下に将軍として水瀬秋子常勝将軍や北川子爵禁軍将軍等。

年功序列のような所があり、凡庸な者がその戦歴だけでトップに来てしまうところに弱点があるものの、その兵の数、そして、富んだ国力 から特に問題にさいなまれたことはない。

軍のシステムは国が兵を持つ一方で爵位を持つ者にはその爵位に応じて常備兵を持たせるシステム。

それが故に富んでいる諸侯の軍ほど強く、その中でも三侯爵家は国の主力軍である。

特に最近においては、水瀬侯爵家がその現当主の手腕によって三侯爵家の中でも抜きん出た存在となっている。

他の二家は世代を若い世代に実質的に委譲。三侯爵家共に連携を深め、互いの間に確執はない。

水瀬侯爵本人も他の二家を重んじて、対等の関係を崩さないようにしている。

首都は三十万都市ヴァルキリア。世界最大の都市。

家紋は大鷲。鎧の色は倉田家は緑ではあるが、侯爵家は独自の色を持つことも許されている。

ちなみに、現在国軍と鎧の色が違うのは水瀬家の青色のみ。

戦場に一つだけ存在する青い鎧の集団は勝ち戦の時は後ろから味方を援護し、敗戦においては最後尾に回って殿を務める。







折原家(神聖王国)

人口は約五百万。帝国に対抗しうる唯一つの国家。

成り立ちは、帝国が異端者と言うものを作り上げて、統治をやりやすくしようとしたことに反発したことから確執が生まれ、 そして、戦へと突入しかけた所を公爵家が仲裁。

結果として、公爵家が犠牲を払う形で国家としての成立を認められ、それ以来公爵家とは深い縁を持っている。

独立国家でありながら、帝国の支配下にある公爵家に臣従しているかのような態度をすることで帝国との確執を深めつつも、戦に突入したことはない。

と言うのは、互いに挟まれた所に位置する公爵家が何かと仲裁に入り、互いが戦争に入らないように気を使っているから。

現在、王は小坂由起子伯爵が亡き義兄に代わって統治。

と言うのは前王が亡くなった時に、その嫡子である浩平がまだ子供であった為である。

由起子本人も、浩平に少しずつ権力を移し、王権の交代を考えている。

王太子に折原浩平。

王女として折原みさお。

そして、常備軍約五万のトップは王太子が総司令官を兼任。

折原王太子の婚約者である長森瑞佳伯爵令嬢が副司令官。

その下に筆頭将軍里村茜、柚木詩子将軍、深山雪見将軍、上月澪将軍、参謀官の川名みさき等若い将校が揃う。

基本的に実力社会となっているので、戦歴だけ長いからと言ってそれが上に来ると言うわけではない。

あくまで、実際の試験、及び模擬戦闘による結果からの指揮官選定な為に優秀な人材が軍のトップに揃っている。

それが為に軍は強い。一人一人が専門の兵士であり、指揮系統もしっかりしている。

また、現状において、折原王太子と里村将軍は世界で五指に入る将だ。と国内では言われているが、本人達は否定している。

実際に戦ったことはないものの、帝国と真っ向から戦っても負けることはないだろうと言われている国家。

現王太子は公爵との交誼が厚く、帝国と公国の来たる戦の為に一時役目を返上。数人の直属の部下と共に首都オーディネルを旅立っている。

家紋は剣と盾。相沢家の物の変形で、特に頼み込んで許してもらったもの。

鎧の色も銀色で、良く見ないと公爵家と区別は付かない。

本来、似たような色は国家間として使わないようにされているが、わざと似たような色を使ったのはお互いが入り乱れて戦うことは 決してないと言う決意の表れとして知られている。

ちなみに、折原家の初代は大戦の中特殊な術法を操り単独戦闘において魔族の上級指揮官を屠っていった英雄。

その血は今も受け継がれていると言われている。







相沢家(公爵家、公国)

人口は僅かに二百万人いるかどうかと言う小国。

現在では、異端者と呼ばれていた者を受け入れ、また、帝国領内の異端者と呼ばれているものからも 信頼を受けるようになっている。

現状で、彼の家に忠誠を捧げている異端者の人数は約200万とも言われている。

なので、人数においてだけは王国に匹敵する数を持ってはいる者の、その国力においては二国には遠く及ばない。

世界において、唯一つの神直系の家。

始まって千年以上その血は絶やされることなく続いている。

形としては帝国に臣従しているものの、極めて独立国家に近く、与力として精鋭を百人、そして、一族の者を一人帝国に貸し与えている 以外は完全に独立国家。

異端者と呼ばれる者を区別せず、それが故に帝国との確執を深め、ついに臨戦状態となる。

公爵は相沢祐一。

そして、その唯一とも言える理解者として五親等(祖父の兄弟の子供)にあたる相沢大輔。

軍は常備軍として白騎士団二千。団長は相沢大輔。

その他正規軍として約一万五千。これはほぼ義勇兵のような者で、給料は出ない代わりに税を免除されると言う程度。

勿論、申し出ればある程度の生活援助は受け入れられるものの、特に、理由もなく申し出る者は居ない。

ただ、公爵家に仕えたいと言う者達、または白騎士として選ばれなかった者達が自ら集まって構成されたものなので、地位や富を 欲しい者ではないから。

この併せて二万弱の軍隊は数こそ少ないもののその戦力においては世界最強の軍隊と言われている。

白騎士の毎日の訓練は勿論、正規軍の者達も毎月一度の全体訓練と、個人として毎日三時間以上の鍛錬を自主的に行っているからである。

そして、それを行った者のみが公爵家の白の鎧を受け取り、身につけることが出来る。

別名は白の神兵。歴史上に敗北の2文字のない軍隊。

そして、その他にも異端者の指導者である国崎往人が約三万弱の兵を率いて帝国との国境付近、クレスタの砦に立てこもっている。

家紋は槍と盾。

その由来は『槍と成りて外敵を討ち、盾と成りて内を守らんとす』と言う意味。

鎧の色は白。







ちょっとした用語

王家の谷

相沢家の首都オーディン、その本城の直ぐ後方の巨大な谷。

相沢家の者は亡くなるとそこに棺ごと落とされて弔われる。

そこに落ちた神家の者は人間界における神としての寿命を終え、神界において神として生まれ変わると言われているが、その真偽は定かではない。




グングニル

相沢家の家宝。

始祖オーディンが使っていた槍で、世界最強の武器。

現在の持ち主は相沢祐一。しかし、本人がそれを使用するのを見たことがある人物はほとんどいない。

槍としての使用と別に何かがあると言われてはいるが、それが何かは不明。




禁術

理由があって、使用することを禁止されている術法。

その禁止理由は物によって違う。




リインカーネーション

禁術の一つ。

治癒術法の最高峰で、死者すらも生き返らせると言われている。

祐一が得意とする術法で、その内容を細かく知るものは世界全体でもほとんど存在しない。




魔封布

グングニルを収めている袋や、佳乃の腕に巻かれていたバンダナに使われている特殊な布。

強大すぎる魔力を押さえつけることに用いられる物ではあるが、現存するものはほとんどない。

グングニルを収めている魔封布で作られた袋は、グングニルと並んで公爵家の家宝の一つとなっている。




結界

大戦で戦った魔族(と人にとって言われている)を封印した結界。

常に神家が魔力を送り続けることで存在していたが、相沢慎一の死によって崩壊。