そこに昔から住む者は新しく入ってきた者たちに喜んで協力し、新しく入ってきたものは食べ物も何もない状態でも生活することが出来た。
しかし新しく入ってきたものは考えた。
俺たちの土地はもっとあってもいいのではないか??・・・・と。 こいつらを追い出せばこの土地は俺達の物だ・・・・と。
そして、彼らは一方的に戦いを始めた。
昔から住んでいたものは戦う術を持たなかった。
獣を食べるわけでもなく、ただ作物を普通に育てるだけで生活をしていた彼らには武器と言う概念自体なかったからだ。
彼らは追い立てられて北に移り住み、新しい生活を始めた。
しかし彼等の不幸は終わらなかった。
新しく来た者は自らを正当者と呼び、昔からいた者を異端者と呼び、迫害した。
そしてある時、いきなり、異民族が魔族と共に彼らの世界に攻め込んできた。
魔族の数こそは少なく、それだけでは戦力ではないのだが、騎馬を使う異民族達は強かった。
その正当者と自らを呼ぶ者達は負け続けた。
そして、異民族や魔族が魔術と言う力を使うことを知り、それの対抗策を練るために異端者を前面に押し出した。
異端者達は彼らによって先陣としてむりやり戦わされ、戦費を支払わされ、さらにそのお金の払えない集落は兵隊の訓練や、兵隊予備学校の実習訓練の場として・・・・つまり命をいかにして取るかの練習をする場とされた。
正当者達はそれについて疑問を持たなかった。
持たなかった理由なんて簡単だ。子供の時からそう教えられてきて、それが当然のことだったからだ。
年も経ってしまえば異端者と言うものが元々どんなものだったかなんて誰も気にしようとなんてしなかったから。
そのうちに異端者の側でもそれを当然のこととして受け入れるそうに・・・・いや、と言うよりあきらめてしまった。
時が立つに連れて彼らは異端者を生贄(一応戦いの先陣を切らせると言う形でだが)に出すうちに魔術を使う相手とどう戦うかを知るようになっていった。
戦い方を覚えた彼らは特にわざわざ異端者を前面に押し立てなくても互角以上の戦いが出来るようになった。
特に魔力と言うものを持つ人間は正当者であろうと異端者であろうと重宝されるようになった。
魔力の使い方を知った彼らは力を増し、圧倒するまでになった。
しかし、ある時敵の力が急に強まった。
今までは適当にはぐれ魔族や、異民族の一派のような者たちが襲ってくるだけだったのに、大量の有力な勢力が侵入してきたのである。
どうやら、異民族同士でも内乱が起こっていて、それが終わり、異民族達はひとつにまとまっていた。
そうして、彼らは少しずつ戦況を悪化させていった。
そんな時異端者の中に神が二人現れた。
二人の神の名前はヴァルキリー、そして神槍グングニルを持つオーディン。
その二人は正当者達の所に言って告げた、もしこの後こんなくだらない差別をやめるのなら手を貸してやる、と。
正当者達はそれを受け入れ、異端者と呼ばれるもの達を受け入れた。
もとより、差別する理由もわからず、見た目も変わらない、しかも、魔道兵の中には大量の異端者が含まれていた。
何か理由があれば簡単に打ち解けられる、その程度のものだった。
二人の神は人間達が互いに打ち解けていくのを確認し、彼らの中から軍隊を作った。
魔力のあるものを集め、武器の使い方や魔法の使い方を教え、強力な軍隊を。
それは「
そして、神を中心とした軍隊は魔族を押し戻していった。
白騎士団の能力の高さもあったが、互いを信頼するようになった人間達は、食料の調達、戦力の補充、連携をとても上手くこなすことが出来たからである。
そうして、異民族、そして魔族を元の場所に押し戻すと、二人の神は自分達の子供5人と強力して、その入りぐちに強力な結界を張った。
戦いが終わると人間達は国を作ることを考えた。
国を作り、力を併せていればもう一度こんなことがあっても大丈夫だから・・・と。
そして、初代国王に時の彼らのリーダー、倉田家が、そして、それを補佐する家として水瀬家、久瀬家、美坂家の3侯爵が選ばれた。
神は人間の世界で人間として暮らそうと相沢と言う名前を名乗った。
相沢の家は国の中でありながら国の外と言う微妙な立場を望み、公爵の地位についた。
この家はほとんど独立した国であるため、「相沢公国」とも呼ばれる。
その国は常に白騎士団と共にあり、その常備軍2000はどの時代においても人間界最強の戦闘集団である。
最も、戦闘というものがほとんど行われないと言う現状において、相沢家にとってやらなければいけないことなんてほとんどなかった。
相沢家にとってやらなければいけないことなんてほとんどない。
子供を作ること。
そして結界を維持すること、それだけだ。
結界は常に魔力を送り続けないといけない、だから、たくさんの人間が必要だった。
それだけ結界の維持と言うのは大変な仕事だった。何人もの人間で送る魔力の配分を考えて常に送り続ける。それは大変な仕事だった。
人の魔力は通常自動的に回復していくものではあるが、その回復より送る魔力が多くなると魔力はいつか底を尽きてしまうからである。
相沢家は常時15人ほど一族を抱え、その全員をして結界を維持させ続けた。それは大変な仕事であった。
が、それさえすれば魔族の侵入はない。だから、他の人間の協力し、魔族が再び侵入してくることはなかった。
最も、魔族との戦いの時、封印から逃れた魔族があっちこっちにいるのも事実ではあったが、とてもそれは人間の生活をおびやかすものではなかった。
そしてそのまま平和な時代が続いていった。
人間が「異端者」と呼ばれた人間と手を取り合って戦ったことも忘れるくらいに。
平和になったら人間はまた昔と同じことを考えてしまう。
それは悲しいことに人の性とも言うべきものなのかもしれないが・・・・・・・
人がより豊かな生活を求めると言うことはそういうことである。自分を豊かにするために貴族達は異端者に重税をかける理由として、大昔の戦いの理由を異端者になすりつけて・・・・・
そして、また差別が始まった。
正当者達は異端者と決めた人間を隔離地に送り(最も、この時代になると、もとからの異端者なんて区別のつけようもないので、かなりいいかげんな基準で選ばれた)重税をかけ、戦闘訓練の「狩り」に利用した。
そうすると、正当者と認定されたものの中からも批判が生まれた。相沢家はもちろん、折原と言う家もそれを批判し、倉田家の治める国から独立した国家を樹立した。
新国家樹立にあたって特に戦闘は起こらなかった。相沢家は自分達の国家から、常に相沢の血縁一人、そして、白騎士団から100人を倉田家の帝国に与力として送ることの代わりとして新国家樹立を認めるよう要望した。
その与力達はたまに町に現れる魔獣や魔族の残党を討伐していった。
そこから数百年、さらにエスカレートしていって迫害はお互いの溝をさらに深めるのに十分すぎ、また、もう一つの問題もあった。
相沢家の一族が減って行くと言う問題である。
貴族や王家が自分の一族に神の力を取り込もうと色々画策をしているうちに嫌気がさして結婚をしなくなったものや、他家に嫁いで相沢であることを捨ててしまったもの。
結果として、結界を守るものは減少し、今ではたったの3人である。
現相沢公爵の相沢 慎一
白騎士団団長の相沢 大輔
そして、公爵の孫にして、公子である相沢 祐一、グングニルの使い手である。