≪深紅の王≫
第一話 真紅の帰郷
<華音>
「…・・・ここも久しぶりか……。それにしても雪か……寒いな。」
広場の入り口に立っている青年が言ったようだ。青年の名は相沢祐一、親に捨てられ精霊王に拾われて精霊界、魔界、神界を旅していたが久しぶりに華音に訪れて見たのだった。
祐一は、全身白で髪も白く、眼は銀色をしていた。白衣の祐一は雪の中に自然ととけ込んでいた。
「まずは、宿を探すか・・・「きゃあああああああ!!!!」ん?あっちからか?」
何やら少女の悲鳴が聞こえた。
(少し魔の気配がするな・・・行って見るか・・・)
「えぅ・・・。」
「ガルルル!!」
「やめろ・・・。」
少女に襲いかかろうとする魔物を制止する。そして話しかける・・・
「・・・ここにいてはいけない・・・。ここから去れ・・・ここで殺されてはいけない。」
「グガ?」
「そうだ・・・無駄に死ぬことは無いんだ・・・復讐したいなら俺を呼べ・・・。」
魔物は祐一の説得に応じたのか去って行った。少女はと言うと・・・気絶していた。
とりあえず傷口に治癒魔法を施した。
「クッ・・・害の無い魔物狩りか・・・復讐されても文句は言えないはず・・・人はなんて愚かな種族なんだ・・・」
「さて、こいつどうしょうか・・・「栞!!」なんだ?」
この少女をどうしょうかと考えてると誰かの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「し、栞!? 大丈夫!? クッ!? あなた何か栞にしたでしょう!?」
物凄い剣幕でこっちに向かってきた少女は言った。
「・・・知らん。」
この態度にカチンときたのか少女は
「よくも栞を!? 許さないわ!! 第参聖騎士団団長美坂香里の権限によりあなたを捕縛する!!!」
「・・・はぁ?まぁいいか・・・どこにでも連れて行けばいい・・・。」
祐一は抵抗するのが面倒になり、香里に捕縛され取り調べるために華音城に連れて行かれた。
「えぅ〜、置いてくなんてそんな人嫌いです!」
意識を取り戻した栞(?)もまた華音城に向かった。
<華音城>
「あなたの名前は?」
「・・・。」
華音城に連れてこられた祐一は香里によって追及されていた。しかし、祐一はというと沈黙を保っていた。
「はぁ〜、素直に答えなさい!」
「どうしたんだ?美坂〜、部屋の外まで聞こえたぞ。」
どこから見てもアンテナの金髪男が入ってきた。
「北川君も手伝いなさい。この男のそばに栞が倒れていたのよ。栞に何かしたに違いないわ。」
「ふ〜ん、栞ちゃんにか・・・ん? えっ!?」
祐一の事をよく観察する北川だったが・・・
「北川君、どうしたの?」
「み、美坂・・・こいつの二つ名は“白衣の死神”だぞ・・・とんでもない奴連れて来やがったな・・・どうするんだ?」
「は、“白衣の死神”ですって・・・。」
“白衣の死神”の名を聞いて顔を青くする香里だったが、突然
「・・・覗くのをやめろ!!“ダーク・アロー”(スッ)」
祐一は壁の方に向かって闇の矢を飛ばした。すると壁に刺さる前に闇の矢が消えた。
「なっ!?消えた!?」
「あらあら、気付かれてしまいましたか・・・美坂さん、その方を王の間に連れてきてください。」
「秋子さん!? 何時から覗いてたんですか?」
「あんたと会ってからずっとだ・・・。」
「バレてましたか・・・。よろしくお願いしますね、美坂さん。」
「はい、分かりました。・・・ついて来なさい。」
突然の声に驚いたがなんとか平常心をとり戻し香里は祐一の前を歩き出した。
(クククク・・・“ダーク・アロー”をくらいながら平常心を保っているとは中々やるようだな。)
「くっ!? なんという威力! さすがは“白衣の死神”ですね。」
<王の間>
「あらあら、先ほどは失礼しました。私は水瀬秋子。この国の宰相をしています。」
「・・・今度やったら容赦はしない。」
「なっ!? 秋子さんは“蒼天の女神”なのよ! あなたが“白衣の死神”だからって敵う筈が無いわ!! 勝てるとしたら“真紅の奇術師”ぐらいよ!!!」
「・・・」
「美坂さん、落ちついて下さい。国王の前ですよ。」
「失礼しました!」
ここが王の間だということを忘れていた香里は、はっとして黙った。
「まあ良いではないか・・・その辺で。私はこの国の王で倉田茂秋だ。」
まだ若いが30代後半だろうと思われる男が仲裁した。
「・・・厳格の王。」
「ほう・・・よく知ってるな。」
「お姉ちゃん!!」
突然、王の間に魔物に襲われていた少女が乱入する。
「栞! 国王の前よ!!」
「えぅ!? 失礼します、国王陛下。それよりお姉ちゃん、私を助けてくれた人はどこですか?」
国王の前だというのに騒がしい姉妹である。
「えっ!? まさか!? この人じゃないわよね?」
祐一を指差す香里だったが、栞は
「この人です!真っ白でしたから。あのときはありがとうございました。」
栞はあの時のお礼を言い、香里は“白衣の死神”と聞いた時より顔が青くなっていた。当り前である。
一方的に連れてきたのにもかかわらず誤認。しかも捕まえたのが“白衣の死神”。殺されても文句は言えない。
「ご、ごめんなさい!!」
「・・・気にするな。」
無表情に祐一は言い放つが見兼ねて茂秋が、
「申し訳無い・・・そこでどうだろうか? 宿は決まっているかね? 決まっていないならここに泊まって行ってくれ。これで許してくれないか?」
「・・・まあ良いだろう・・・。」
提案をのんだ祐一だったが複数の声が聞こえてきた。
「お父様〜、一弥が!!」
「茂秋さん! 一弥が・・・!」
気品にあふれる女性と笑ったら愛らしいだろうと思われる少女が慌てて入って来た。
「佐祐理、夏夜、どうした!?」
「一弥の意識が無いの!!」
「なんだと!? 医師に見せても病では無かったはずだ・・・。」
「佐祐理が来た時には一弥から魔力が溢れていたから起そうとしたら起きないの!!」
「クックックック・・・。(ニヤリ)」
3人して不安な顔をしていたが静寂の中で祐一の笑い声が響いた。
「何が可笑しいの!?」
怒り心頭の夏夜は祐一を睨むが祐一は平然として笑いながら答えた。
「クックックック・・・それは病ではない。それは呪いだ・・・魔力が溢れているのはそのせいだ。
魔力が無くなったらそいつは死ぬ・・・クックックック・・・・。」
「呪いだと!? 秋子よ、解呪をしてくれ!」
「はい! 行きましょう!!」
急いで茂秋たちは一弥の所に向かった。
「あなたは行かないの!?」
「・・・行く必要が無い」
「あなたの実力なら解呪できるでしょう!」
「・・・いやだ」
「くっ!あなた・・・人として最低ね・・・。」
「・・・人だと? 俺は人ではない。人よりももっと高貴な存在だ。クックックック・・・今日は気分が良い・・・手伝ってやろう・・・」
前半は小声で言ったため香里には聞こえなかったが後半は聞こえたようだ。祐一は茂秋が消えた方に歩き出した。
<一弥の部屋>
「・・・」
「一弥!! 返事をしろ!!!」
茂秋の掛声も虚しく一弥の返事はない。一弥の顔は青白くなっている。
「まずいですね・・・彼ものを呪縛から自由に! “ホーリー・リバティ”」
呪縛から自由にする魔法を唱えた秋子だったが依然、一弥からは魔力が溢れている。
「えっ!? 効いていないわよ!! どういうこと!?
「クックックック・・・魔力が足りないんだよ」
「なんですって!?」
突然現れた祐一に驚いたが今は、驚いてる場合ではないのですぐに真面目な顔に戻った。
「・・・そんな魔力で解呪できるわけないだろ・・・ただでさえ怪我をしているのにな。」
「なっ!? 秋子! 怪我をしているのか!?」
「・・・ええ。闇魔法が直撃して立っているだけでもツライです。しかし一弥君のためには寝ていられません!!」
「すまない・・・秋子。クッどうすればいいんだ・・・?」
「クックック・・・俺が解いてやろうか?」
「と、解けるのか!?」
「解きなさい!!!」
絶望の中に一筋の光が見えたようだ。夏夜の命令口調に少しばかり反応した祐一だったが、
「クックックック・・・そんなに息子が大事か?」
「もちろんよ!!私が痛みに堪えて産んだ息子よ!! 大事に決まってるでしょ!!!」
(フッ(ニヤリ)・・・俺もあんたから産まれた息子だ・・・だが、あんたの血は捨てたがな)
「クックックック・・・いい答えだ・・・“≪シード≫よ・・・来い”」
「何のようだ? 祐一。」
闇を纏った男を召喚した祐一は、
「この呪い解けるだろ? 解呪してくれ・・・」
「珍しい呪術だが、これぐらいは簡単だ。“ダークネス・キュア”」
見る見るうちに魔力が抑えられ一弥の顔色が元に戻っていった。
「フッ・・・もう安心だろう・・・」
「「ありがとう(ございます)」」
「本当に感謝する!! 君の名前を聞いていなかったようだ。教えてくれるかい?」
一弥の様子に安心したのかほっとした茂秋がはっとして聞く。
「クックックック・・・俺の名は相沢祐一。“白衣の死神”とも言われているが・・・真紅の奇術師”の方が有名だろうがな・・・クッハハハハハハ」
「「「“真紅の奇術師”!?」」」
つづく
後書き
どうもエイジです。適当に書きすぎですね。
E.Kさんの所で何とか連載再開です。
神々について皆さんに質問です。
ベリアルがルシファーの世話役なのはダメですかね?
※ベリアル:ソロモン72柱の魔神の一人などの設定は抜きで。
※でしっかり注意したのにベリアルにルシファーを抑えられるはずがない!!
その理由を長々と書いたメールが来ました。
il||li_| ̄|○il||li注意したのに・・・。
かなり凹みました。ということで神々は連載中止となりました。(マテ
神々の外伝の案が浮かびましたがとうぶん無理です。
皆さんの感想、意見をお待ちしています。↑のようなことは勘弁して下さい。
執筆スピードが格段に遅くなります。